キャリアショックは、いつでも、誰にでも起こりうる

キャリアショックという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
私がこの言葉を初めて知ったのは、20年近く前に、この本を読んで知りました。

当時は、自分がエンジニアとして働いていましたが、日本の物作りに陰りが見え始め、世界TOPを牽引していた半導体事業が一気に下降し、そして会社から半導体部門はなくなりました。

会社の花形とも言える部署が、ある日突然なくなったのです。
そして、所属する部署の人たちは早期退職、または営業等に仕事が変わりました。
私にとってかなり衝撃的でした。

私は、自社の半導体事業の撤退と、この本によって、自分の仕事もいつ無くなるかわからないと不安と焦りに襲われました。

そのとき、手にしたのがこの本でした。
キャリアショックとは、国内のキャリア研究の第一人者である、慶應義塾大学大学院特任教授の高橋俊介氏が、この本の中で提唱した概念で「個人が積み上げてきたキャリアや描いてきたキャリアの将来像が、想定外の環境変化や状況変化によって短期間のうちに崩壊してしまうこと」を意味しています。

キャリアショックは誰にでも起きることで、それは予測不能であり、一瞬にして自分の描いていた将来や仕事さえ失うのです。
そんな事は、正直会社に入ってから考えたことはあまりありませんでした。

退職する60歳まで働くんだろうなぐらい、かなりぼんやりとしか自分の将来や仕事について考えておらず、日々の仕事に追われる毎日でした。

でも、それではいけないのだと、この本によって、私の意識は変わりました。
自分の能力スキルは、他社でも通用するのか、他の業種でも仕事ができるのか等を考え、自分の存在価値を高めるべく、専門知識以外のことも学びはじめました。
その一つが、産業カウンセリングとキャリアカウンセリングでした。

キャリアショックという言葉、当時、割と浸透したのですが、最近になってまた、注目を浴びているようです。

人生100年時代、働き方改革、そしてコロナによる影響によって、これまでとは違うことが私たちに仕事として求められています。

日本では残業する人が、仕事をしている人という見方がありましたが、働き方改革により残業時間は制限され、仕事量だけでなく、仕事効率を見られるようになりました。

また、人生100年時代といわれ、40代50代になっても学んでスキル能力開発していく必要性も出てきました。
さらにはコロナによって、仕事のオンライン化が一気に進み、ITスキルがない人の中には仕事を失った方もいます。

今まさに、キャリアショックが起きているのです。

ただし、キャリアショックという概念を提唱した高橋氏によると、キャリアショックが起きたときこそ、自分の働き方を見直し、のりこえることで成長していけると考えています。

キャリアショックの渦中にある人をどうやってサポートするかも、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントにとって、大きな役割となるでしょう。